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特商法表記の書き方|住所を出したくない個人の選択肢

特商法(特定商取引法に基づく表記)の書き方を、消費者庁の公式Q&Aだけで整理しました。15の表示事項、屋号だけは不可、住所を出したくない個人が取れる3つの扱い(私書箱は不可)、ネットショップとオンライン講座で書き足す項目まで。2026年11月時点。

公開 2026-11-09 最終更新 2026-11-09 出典はすべて一次ソースで確認済み
特商法表記の書き方|住所を出したくない個人の選択肢
相談者

個人で講座を売り始めます。特商法の表記がいると聞いたのですが、自宅の住所まで載せないといけないのでしょうか?

中川 瞬中川 瞬

必ず自宅を載せる、とは限りません。消費者庁の公式Q&Aに、省略できる条件と、代わりの住所を使える条件が書いてあります。ただし私書箱はだめです。順に見ていきましょう。

ネットで有料の商品やサービスを売るとき、ページのいちばん下によくある「特定商取引法に基づく表記」。個人の副業でも、ネットショップでも、オンライン講座でも必要になります。

この記事は、消費者庁の「特定商取引法ガイド」と「通信販売広告Q&A」に書いてあることだけで、書き方を整理したものです。2026年11月9日に私が公式ページで確認しました。

先にお断りこの記事は法律の助言ではありません。自分の商品や売り方に当てはまるかは、最終的には弁護士など専門家に確認してください。迷ったときは、公式ページの原文を確かめるのがいちばん確実です。

先に要点です。

  • ネット販売は特商法の「通信販売」。商品だけでなく、講座などの役務(サービス)も含まれる
  • 表示する事項は公式の一覧で15項目(当てはまるものだけ書く項目もある)
  • 名前は屋号やサイト名だけでは不可(公式Q&AのQ16)
  • 住所・電話番号は、条件つきで省略やバーチャルオフィスの住所が使える。私書箱は不可(Q17〜Q19)
  • 表記のページを1枚作るだけでなく、申込みができるLPの中と最終確認画面にも表示が要る(Q3・Q12)

特商法の表記とは|通信販売の広告の義務

特定商取引法(特商法)は、トラブルになりやすい取引のルールを決めた法律です。ネットでの販売は、その中の「通信販売」にあたります。

公式の解説では、通信販売を「売買契約又は役務提供契約の申込みを受けて行う商品、権利の販売又は役務の提供」としています。物を売るネットショップだけでなく、オンライン講座やサロンのようなサービスも対象です。

そして通信販売の広告には、決められた事項を表示する義務があります。ネット販売では、販売ページそのものが広告です。表記は「お店の自己紹介」ではなく、広告に付ける決まりの表示です。

規模や本業・副業の別で免除されるという記載は、公式のページにはありません。個人でも、まず必要なものと考えて準備してください。

特商法表記の項目|公式が挙げる15項目

消費者庁の特定商取引法ガイド「通信販売」では、広告に表示する事項として次の15項目が挙げられています(2026年11月時点)。

No.表示する事項だれが書くか
1販売価格(送料を含む)全員
2代金の支払時期と方法全員
3商品の引渡時期全員
4申込期間の定めがあるときは、その旨と内容期限つきの販売
5申込みの撤回・解除に関する事項(返品特約を含む)全員
6事業者の氏名(名称)・住所・電話番号全員
7法人がネットなどで広告するときは、代表者か通信販売の責任者の氏名法人
8外国法人などが国内に事務所を持つときは、その所在場所と電話番号該当者
9送料など以外に買う人が負担するお金があるときは、その内容と額該当者
10契約内容に合わないときの販売業者の責任に定めがあるときは、その内容該当者
11ソフトウェアの取引では、動作環境ソフトの販売
122回以上続けて契約する必要があるときは、その旨と条件定期購入・継続課金
13販売数量の制限など特別な販売条件があるときは、その内容該当者
14請求でカタログなどを送り、それが有料のときは、その金額該当者
15電子メールで広告を送るときは、事業者のメールアドレスメール広告

※「だれが書くか」は、公式の書き方(「〜の場合」)をもとに私が整理した目安です。

15項目を全部書く人はあまりいません。全員が書くのは1・2・3・5・6で、残りは自分の売り方に当てはまるかどうかで足します。

特商法表記の書き方|公式Q&Aの注意

項目がそろっていても、書き方が足りないと表示したことになりません。消費者庁の通信販売広告Q&Aで、つまずきやすいものを拾いました。

項目足りない書き方公式の考え方
氏名・名称屋号・サイト名・通称だけ個人は戸籍上の氏名か商業登記簿の商号、法人は登記簿の名称(Q16)
引渡時期「入荷次第」時期を示したことにならない(Q10)
引渡時期「入金確認後発送します」だけ不十分。「入金確認後、直ちに」なら可(Q11)
返品「その都度ご相談に応じます」返品の可否を示したことにならない(Q13)
返品何も書かない受けないときも、その旨をはっきり書く(Q14)

引渡時期は「○日以内」「○月○日まで」のように、期間か期限で書きます(Q9)。送料は、大きさや地域で変わるなら、最高と最低の額や数例でおおよその負担が分かれば足りるとされています(Q7)。

表記例|個人で講座を売る場合

形のイメージとして、記入例を置いておきます。あくまで例です。中身は自分の商品と条件に合わせて決めてください。

販売事業者山田 花子(戸籍上の氏名)
所在地・電話番号請求があれば遅滞なく開示します(下の章の条件を満たす場合)
メールアドレスinfo@example.com
販売価格各講座のページに税込で記載
商品代金以外の必要料金振込手数料・通信費はお客様負担
支払方法・支払時期クレジットカード(申込み時)、銀行振込(申込みから7日以内)
提供時期入金確認後、直ちに受講ページのご案内を送ります
キャンセル・返品(例)サービスの性質上、提供開始後の返金には応じません。開始前のキャンセルは○日前まで全額返金

住所を出したくない個人の3つの扱い

個人でいちばん多い悩みが、自宅の住所と電話番号です。公式Q&Aでは、次の3つが書かれています。

① 請求があれば遅滞なく提供する(Q17)

住所は「現に活動している住所」、電話番号は「確実に連絡が取れる番号」が原則です。そのうえで、請求があれば書面や電子メールで遅滞なく提供する旨を広告に書き、実際にそうできる体制があれば、表示を省略できます。

この「遅滞なく」は、申込みを決める前に、十分な時間の余裕をもって提供されることだと説明されています。返事に何日もかかる状態では、条件を満たしません。

なお、省略できない事項もあります。返品に関する事項、前払いの支払時期、継続契約の条件などは省略できません(公式の通信販売のページ)。

② バーチャルオフィスなどの住所(Q18)

一定の条件を満たせば、バーチャルオフィスやプラットフォーム事業者の住所・電話番号でも表示できるとされています。2021年10月の消費者庁長官の記者会見でも、これは「従前から」認められていると説明されています。

条件は、連絡先として使うことに合意があること、運営者があなたの現住所と本人名義の電話番号を把握し、確実に連絡が取れることなどです。プラットフォームの住所なら、取引がそのプラットフォーム上で行われることも条件に入ります。

どれかが守られず、お客様と連絡が取れなければ、義務を果たしたことにはなりません。住所を隠す方法ではなく、「確実に連絡が届く別の窓口」を置く方法です。

③ 私書箱は「住所」にならない(Q19)

私書箱は、営業の活動の拠点を示すものではないため、「住所」の表示としては認められないとされています。解説記事の中には私書箱を選択肢に挙げるものもあるので、ここは公式の記載で確かめてください。

また、名前は住所と違い、屋号だけで済ませることはできません(Q16)。長官会見でも、個人事業者の氏名は契約の相手を明確にするため表示が欠かせないと述べられています。氏名も「請求があれば遅滞なく提供」で省略できる場合はありますが(Q15)、条件は住所と同じです。

ネットショップの特商法表記|返品特約

物を売るネットショップで、とくに大事なのが返品特約です。公式の解説では、商品の引渡しを受けた日から数えて8日以内なら、お客様は申込みの撤回や解除ができ、返品の送料はお客様負担とされています。

ただし、広告で返品特約を表示していれば、その特約が優先されます。「返品は受けない」「未開封で○日以内なら可」と決めたら、その内容を書きます。書いていなければ、8日のルールがそのまま当てはまります。

特約は、広告の中の見やすく、はっきり読める場所に書く必要があります(Q12)。ネットショップの作り方で表記ページの場所が決まっているサービスでも、返品の内容は自分で決めて書き込むところです。

手数料の違いで販売サービスを選ぶなら、BASEの手数料 の記事も参考になります。

オンライン講座・サロンの特商法表記

講座・コンサル・オンラインサロンのようなサービス(役務)も、通信販売として表記が要ります。物販と違って、書き足すところが2つあります。

継続課金は「続くこと」と目安の額

月額のサロンや分割の講座のように、2回以上続けて支払う形では、その旨と条件を書きます(表の12)。公式Q&AのQ21では、期間の定めがない契約は総額を出せないため、半年分や1年分の金額を目安として示し、それが契約期間ではないことをはっきりさせるよう求めています。

あわせて、解約の通知がない限り契約が続くことも示します。解約の方法と締め日は、お客様が一番あとで困るところなので、具体的に書いてください。

キャンセルの条件は自分で決めて書く

公式の解説では、8日以内の撤回・解除は「商品の引渡し(特定権利の移転)を受けた日から」数えると書かれています。講座のような役務がどう扱われるかを、この記事では断定しません。

確かなのは、キャンセル・返金の条件を「その都度相談」にせず、決めて書くことが求められている点です(Q13・Q14)。どこまで返金するかは、専門家と相談して決めておくと安心です。サロンの税金や規約は オンラインサロンの税金と特商法 にまとめています。

表記ページだけでは足りない|申込み画面

ここが、いちばん見落とされているところです。特商法の表記は、フッターのリンク先に1ページ作れば終わり、ではありません。

公式Q&AのQ3では、ランディングページ(LP)のようにそこから申込みができる広告には、その広告の中で表示が必要とされています。LPを何枚も作るなら、どのLPからも表記にたどり着けるようにしておきます。

さらに、ネットで申し込む場合は最終確認画面(申込みボタンを押す直前の画面)にも表示が要ります(特商法第12条の6)。公式の解説で挙げられているのは次の事項です。

  • 分量
  • 販売価格と送料
  • 代金の支払時期・方法
  • 商品の引渡時期
  • 申込期間の定めがあるときは、その内容
  • 申込みの撤回・解除に関する事項(返品特約を含む)

この画面で事実と違う表示をしたり、表示すべきことを出さなかったりして、お客様が誤解して申し込んだ場合、お客様はその申込みを取り消せるとされています(第15条の4)。

違反したときは、業務改善の指示、業務停止命令などの行政処分の対象になり、一部の違反には罰則もあると公式に書かれています。表記を整えることは、審査やお客様の安心のためだけでなく、自分の商売を守るためでもあります。

決済会社の審査でも、表記はよく確認されます。審査で止まりやすいところは 決済は個人でも使えるか にまとめています。

次の一歩|表記のひな形から始める

ゼロから表記を書くのは、項目の抜けが出やすい作業です。AiCmo(アイシーモ)には特商法・規約ページの自動作成があり、無料プランから使えます。

ボタン1つで、特定商取引法に基づく表記・プライバシーポリシー・商品情報の3ページのひな形が下書きでできます。黄色い【要記入】のところを自分の事業の内容に書き換えて公開し、LPや決済ページに貼る流れです。

商品を売るときは AiCmo決済 で、LPやLINEからそのまま支払いを受け付けられます。商品登録で店舗の情報(販売者名・所在地・連絡先など)を入れておくと、商品ページの特商法表記に反映されます(商品登録の使い方)。ほかの機能は AiCmoのすべて で見られます。

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ただし、ひな形はあくまでひな形です。返品やキャンセルの条件、継続課金の書き方は、自分の商品に合わせて決める必要があります。法律の確認まで任せたい人や、特殊な売り方(定期購入の物販・海外向けなど)の人には、ひな形だけでは向きません。専門家に見てもらってください。

よくある質問

Q個人の副業でも特商法の表記は必要ですか?

Aネットで有料の商品やサービスを売るなら、通信販売として表示が必要です。規模や副業かどうかで免除される、という記載は公式のページにありません。

Q屋号やハンドルネームだけで書いてもいいですか?

Aいけません。公式Q&AのQ16で、屋号やサイト名だけの表示は認められないとされています。個人は戸籍上の氏名か商業登記簿の商号を書きます。

Q自宅の住所を載せずに済む方法はありますか?

A公式Q&Aでは、「請求があれば遅滞なく提供する」と書いて実際に対応できる体制を取る方法(Q17)と、条件を満たしたバーチャルオフィスなどの住所を使う方法(Q18)が示されています。どちらも確実に連絡が取れることが前提です。

Q私書箱の住所でもいいですか?

A認められていません。公式Q&AのQ19で、私書箱は営業の拠点を示すものではないため「住所」にならないとされています。

Q返品を受けないと書いても大丈夫ですか?

A受けないときは、その旨をはっきり書く必要があります(Q14)。書いていない場合、商品は受け取ってから8日以内なら撤回・解除できるルールが当てはまります。最終確認画面にも表示します。

Q表記のページは1つあれば足りますか?

A足りないことがあります。申込みができるLPの中で表示が必要とされ(Q3)、ネットの申込みでは最終確認画面にも価格や返品などの表示が要ります。

まとめ|表記は「連絡が届くか」で決める

特商法の表記の書き方を、消費者庁の公式情報(2026年11月9日に確認)だけで整理しました。

この記事の要点

  • ネット販売は通信販売。講座などのサービスも含み、個人でも表記が要る
  • 表示事項は15項目。全員が書くのは価格・支払・引渡し・撤回解除・氏名住所電話
  • 名前は屋号だけは不可。住所・電話は条件つきで省略やバーチャルオフィスが使える。私書箱は不可
  • 返品は受けないならそう書く。継続課金は続くことと目安の額を書く
  • 表記ページだけでなく、LPの中と最終確認画面にも表示が要る

私が相談を受けていて多いのは、「住所をどう隠すか」から考えて手が止まってしまうケースです。公式の考え方は、隠すかどうかより「お客様の連絡が、確実にあなたに届くか」にあります。

そこさえ押さえれば、選べる書き方はあります。まずは15項目のうち自分に当てはまるものに丸をつけ、迷うところだけ専門家に確認してください。

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